あと30年で回転寿司からサカナが消える。いや、回転寿司が消える。
日本が誇る食文化の一つ、おSUSHI。
回転寿司には、たくさんの種類のサカナがいつまでも、次から次へと流れています。
そんな回転寿司の裏で、国際的に騒がれているのが、2048年に海からサカナがいなくなるというもの。
私たちの愛する海、そこに住むサカナたちを守るために今伝えたいことがあります。
今回は、サカナ大量消費と乱獲問題についてお話します。
止まらないサカナ需要
発展途上国での所得の増加に伴い、海産物に対する需要も高まりました。1960年代に世界一人当たりの魚介類の摂取量は9キロでしたが、現在では一人あたり20キロと2倍以上に増加しています。
以前は、自然繫殖能力によってサカナの数は一定に保たれていましたが、それ以上にサカナがたくさん捕獲されるようになったため、その数が減少し続けているのです。
なんと、食用とされている魚介類の1/3の種類が90%も減少しています。サメやマグロなどの大型肉食系魚種においては、90%が絶滅したと言われています。
サカナの減少は、漁業がさかんな国の経済に大きな打撃与え、失業にも繋がります。
一部の地域では飢餓をもたらすというリスクがあります。また、領有権を巡って紛争の火種になるなど、国際的な問題につながってしまいます。
日本が大好きなマグロ
日本は、世界で捕れるクロマグロの80%を消費しています。
北大西洋のクロマグロは、20年間で90%も減少しており、私たちはまさしく絶滅危惧種を食べていることになります。どこでも手に入れられてしまうので当たり前に感じてしまいますが、決してそんなことはないということです。
乱獲問題
サカナの摂りすぎの影響は、その他の海洋生物の命まで脅かしています。
その一つが、乱獲。これは、漁業の対象とは別の生き物を意図せずに漁獲してしまうことや、漁業の対象となる種であっても幼体を捕獲してしまうこと。
毎年、65万頭ものクジラやイルカ、カメ、アシカアザラシが捕獲されています。世界中で捕獲されるサカナのうち約半数が捕まえる必要がない生物だと言います。そして、捕まったこれらの海洋生物は、商業的に価値がないものとして捨てられてしまいます。
この問題に対し、ウミガメが逃げられるように網に工夫したり、サメの嫌がるにおいをつけたりという対策もありますが、普及には至っていません。
ゴーストフィッシング
漁業が与えるもう一つの影響が、ゴーストフィッシング。
漁具の処理費用削減、燃料の削減、不慮の事故などの様々な理由から、海にはたくさんの漁具が流れ出ています。そのまま放置された網や糸などに野生生物が絡まってしまうことをゴーストフィッシングと呼びます。
漁具の多くはプラスチックでできており、やがてマイクロプラスチックとなり半永久的に海に存在することになります。
海洋プラスチック問題についてはぜひ以下の記事をご覧ください。
IUU漁業
もちろん、漁業を持続可能なものにするために漁獲制限や漁具に関するルールが設けられています。このようなルールを守らずに行われる漁業がIUU漁業と呼ばれています。
(Illegal Unreported and Unregulated : 違法・無報告・無規制)
IUUの漁船では、労働者に休憩や食事を与えずに長時間労働をさせるなどの労働搾取が起きているという事例が見つかっています。悲しいことに、世界の漁獲量の13~31%がこのIUUの漁獲量が占めていると言われています。
日本では、消費される魚介類の約半分を輸入に頼っていて、その流通過程の長さからいつどこで違法で捕られた魚が紛れ込むか管理が行き届かず、透明性を保つことが困難です。知らない間に違法で捕られたサカナを食べていることが十分にありえてしまうのです。
養殖の落とし穴
こんなことなら養殖だけにしておくれと思いますが、そういうわけにもいきません。
養殖にも、問題があります。
養殖場を確保する為に干潟やマングローブなどの環境を破壊されます。
日本の養鶏場と同じように、過密飼育されているので病気や寄生虫を防ぐ目的で抗生物質等の大量の化学薬品が投与されます。それにより周りの海が汚染される場合もあります。
そして、養殖魚のほとんどが海で摂れたサカナを餌とするので、結局大量のサカナを漁獲すするという状況になります。種類により変わりますが、サカナ1キロあたり7キロの餌魚が必要言われています。
MSC/ASC認証マーク
MSC認証とは、持続可能な天然水産資源管理のために漁業に与えられる認証のこと。
ASC養殖認証とは、環境や社会に関し適切に管理されている養殖場に与えられる認証のこと。
これらは、水産物のトレーサビリティを確実にするための制度ですので、この認証マークがついたサカナを選ぶことで、私たち消費者は持続可能な漁業を支援することができます。
自然との共存とは
市場社会において、資源は経済的に価値があるかないかで判断されていると感じます。
“利益”に繋がるものは、大量に消費されます。森林も、海洋資源も同じ。お金になるのなら、動物の権利もほとんど無視されています。畜産はその代表例です。人間の管理の下で、一生を拘束されて過ごします。スーパーに並ぶたくさんの肉、ペットショップにいる犬や猫、鳥たちな、たくさんの動物がお金でやりとりされていることはとても不自然だと思います。
このように、市場社会で人間は土地や海、動物の命など地球のすべてをお金で売買し"所有物"としています。利益を追い求めるばかりで、地球環境をないがしろにしてきました。地球環境が悪化すれば、海抜の上昇や気温上昇により住む場所を失う人が大勢出てきます。自然が滅びることで食べるものが次々になくなります。
そうすると、何が起こるのか。奪い合いです。限られた資源を巡り紛争が起こります。既に、漁業の領有権を巡り、紛争は起きています。
私たちは自然と共存していく必要があります。決して自然をコントロールしようとするのでなく、自然の枠組みの中で暮らす。これが“持続可能性“ではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
明日も素敵な一日になりますように。