食糧不足の危機。ミツバチが消えると人類は滅びる。
世界はいま、食糧不足の危機に直面しようとしています。
野菜や果物の値段の高騰、それらを飼料とするお肉の値段の高騰。
世界の人口増加に伴い、限られた食料の奪い合いが起きるかもしれません。
これらのカギを握っているのは、ミツバチです。
今回は、ミツバチと食糧危機についてお話します。
世界中で相次ぐミツバチ失踪事件
2006年頃から、アメリカやヨーロッパなどで西洋ミツバチが大量に失踪するという現象が次々に発生しています。
2007年には、北半球に生息するミツバチの1/4が消えたと報告されました。
2018年、アメリカにおけるミツバチのコロニーの40%が消滅したことが確認され、かつてない深刻な状況となっています。
ミツバチが消えると、人類は4年で滅ぶ。
ミツバチは、世界で生産される全作物の1/3以上の受粉を担っています。
つまり、花粉を媒介するミツバチは消えると、スーパーの野菜売り場には、じゃがいもやニンジン、トウモロコシなどの一部の野菜のみしか残りません。
もちろん、ミツバチの代わりに農家が、手で植物を受粉させることもできますが、
膨大な時間やコストを費やし、ミツバチによって受粉された作物に比べると格段に品質が悪くなるという現象も起こります。
チョコレート、かぼちゃにたまねぎ、アボカド、キャベツというようにあらゆる作物の値段が高騰し、入手困難になります。
もちろん、朝のコーヒーも飲めなくなります。
また、乳牛の飼料である干し草もミツバチによる受粉を必要としているため、牛乳やバター、チーズなどの乳製品、牛肉も同様に入手困難になると考えられます。
影響は衣類にも。
ミツバチによって受粉した綿花は、自家受粉のものよりも品質と生産性が平均6.25%も高いです。
衣類に欠かせないコットンも、ミツバチによって受粉する綿花からとれるものです。
コットン生地の衣類が消えてしまったら、人類は合成繊維の服だけに頼らざるを得なくなるかもしれません。
なぜ、ミツバチの失踪が止まらないのか。
ミツバチ失踪について、気候変動・病原菌・免疫機能不全など様々な要因が挙げられていますが、明確な理由はまだ明らかになっていません。
その中でも、強い因果関係が考えられるのが、農薬の影響です。
EU諸国では、ミツバチの減少の要因をブドウにまかれたネオニコチノイド系の農薬が原因としています。
2016年の研究で、ネオニコチノイド系の農薬によってミツバチの精子の量が40%減少することが確認されています。
日本の姿勢
世界各国は、小麦の収穫の際に使われる農薬“ラウンドアップ”同様、予防原則に基づき使用を禁止する動きが見られます。
予防原則とは、農薬とその悪影響に関する明確な根拠がなくても、状況から判断し、最悪な事態を避けるため予防措置をとる考えかたです。
現段階で日本は巣箱を避難させる被害防止策の指導にとどまっています。
農林水産省は、ネオニコチノイド系農薬の影響する可能性を認めながらも、”カメムシ防除に重要”という位置付けをしています。
これは、日本は予防原則とは反して、明確な根拠が証明されるまで動かないという考えがあるためです。
実際に、水俣病などの四大公害はいずれも、発祥から公認まで10年以上も経過しています。
私たちにできること
ミツバチの減少を食い止めるためには、農薬の使用を制限することが重要ですが、消費者私たちにもできることはあります。
それは、有機野菜を選ぶことです。
有機野菜とは、2年または3年以上、農薬や化学肥料を使わない田畑で収穫された野菜のことです。
有機野菜は、できるだけ化学物質を使用しないため、受粉させるミツバチだけでなく、生産する農家の人、野菜を摂取する私たちの健康にも優しいのです。
これからも彩り豊かな食卓を囲むために、スーパーでのお買い物の際には、ぜひ新たな選択をしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
明日も素敵な一日になりますように。