人類史上もっとも多くの生理を経験する現代女性の生理との向き合い方。
女性が生涯で何回生理を経験するのかご存知ですか?
答えは、450回です。
女性が一生でこれだけ関わることの多い生理について、あなたはきちんと理解できていますか?
今回は、女性の生理についてお話します。
ジェンダーに関係なく、全ての人にお伝えしたいお話です。
生理とは?
生理(月経)とは、赤ちゃんができなかったとき、不必要になった子宮内膜が出血を伴って体外へ排出されることです。
生理のサイクルとホルモンの働き
一連のサイクルは、卵胞期・排卵期・黄体期・月経期に分けられていて、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つの女性ホルモンが大きく影響しています。
生理のメカニズム
卵胞期:
月経後、卵胞ホルモンの分泌が多い時期。
卵巣の中の原子卵胞が成熟し、卵胞ホルモンが多く分泌されます。
その影響で子宮内膜が厚くなります。
排卵期:
卵胞ホルモンの分泌がピークになると、卵子が飛び出す“排卵”が起こります。
黄体期;
排卵後、黄体ホルモンが多く分泌される時期。
子宮内膜がさらに厚くなり、受精卵が着床しやすい環境に整います。
月経期:
赤ちゃんができなかったとき、卵胞ホルモン・黄体ホルモンの量が減少し、子宮内膜が出血を伴って排出されます。
これが生理です。
現代女性は生理が多すぎる!?
昔の女性は、若い頃から出産を4~5回繰り返しており、生涯で経験する生理の回数は50回ほどでした。
それと比較して、現代女性は出産する年齢の上昇や回数の減少により、なんと一生で450回もの生理を経験しています。
生理や排卵にはたくさんのエネルギーが必要です。
生理や排卵は妊娠のために必要なものですが、これらの回数が増えたことで、子宮内膜症、卵巣がんなどの疾患が増えることが明らかになっています。
また、生理痛などの症状がある場合は、排卵を抑えたり生理の回数を減らす治療の検討も現代女性にはとても大切です。
月経困難症とは
生理中の症状は人によって様々です。
普段通りに生活を送れる人もいれば、立ち上がれない程の痛みがある人もいます。
この生理中に起こる痛みや、疲労感などの身体の症状や、イライラや抑うつなどの心の症状が日常生活に影響するほど強く出る状態を月経困難症と呼びます。
実に7割の女性がこれらの症状に悩まされているというデータもあります。
月経困難症には機能性と器質性の2種類があります。
機能性月経困難症は、特に病気があるわけではなく、子宮内膜から出されるプロスタグランジンという痛み物質により痛みを強く感じます。
器質性月経困難症は、子宮関連の病気が原因となり、痛みなどの症状が現れます。
生理痛がつらいと感じているのであれば、すぐに産婦人科へ行くことをお勧めします。
生理中だけじゃない!PMSとは?
PMSとは月経前症候群のことで、生理の3-10日前に現れるおなかの張りや痛み、イライラや憂鬱などの症状です。
生理が始まると軽減・消失します。
また、PMSと比べて特に精神的な症状が強く出るものを月経前不快気分障害(PMDD)と呼びます。
原因ははっきりとはわかっていませんが、ホルモンバランスの乱れやストレスが関係していると考えられています。
ピルは避妊薬ではなく治療薬
ピルと聞くと避妊目的で飲むものというイメージを抱く人が多いかもしれません。
しかし、人類史上、もっとも排卵・月経が多い現代女性にとって、身体への負担を軽減させるなどピルにはたくさんのメリットがあります。
生理トラブルの緩和
女性ホルモンが一定に保たれるようになるため、PMSや生理痛などのトラブルを軽減する効果があります。
また、ご自身のスケジュールに合わせて生理日を調整することもできるため、生理の日程を心配する必要がなくなります。
病気のリスク軽減
排卵をストップさせて子宮内膜を薄くすることで、卵巣がんや子宮体がんの予防・治療に繋がります。
また、エストロゲンの量を調整することで子宮内膜症の予防・治療にも繋がります。
妊娠・出産のコンディションがよくなる
排卵を止める働きがあるので、質の良い卵子を取っておくことができます。
将来の妊娠・出産にとってのより良いコンディションに繋がります。
避妊
排卵が起こらなくなり、子宮内膜も薄くなるため、望まない妊娠を避けることができます。
美肌効果
生理前にホルモンの乱れによって起こる肌荒れも軽減させる効果があります。
理解することは自分自身や周りの人へのやさしさ
あなたは生理についてどれくらい理解していましたか?
私自身、身近な生理について学校でなんとなく習ったような気もしますが、ほとんど気にすることなく大人になりました。
生理や体のことに関する話は、なんとなくタブーになっているように感じます。
しかし、体調が悪くても仕事にいかなくてはならなかったり、たくさんの人が悩みを抱えているという現状があります。
それはあなた自身かもしれませんし、周りにいる人かもしれません。
そんな時にやさしく寄り添える人や理解してくれる人がたくさんいる社会であってほしいと思います。
まずは、知ることがとっても大切です。
“知ること“に関連してもうひとつだけ。
日本は先天性異常で亡くなる赤ちゃんの人数は世界一です。
はっきりとした理由は分かっていませんが、以前にお話した残留農薬などがひとつの要因として考えられています。
このように、“知らない”ということは本当に怖いことだと私は思います。
今までご紹介してきた環境問題や労働搾取、動物への被害など世の中には知らないで済ましてはいけない問題がたくさん存在します。
最後に尊敬する環境活動家の谷口さんがおっしゃっていた言葉をお伝えします。
あなたが解決の一部でない限り、
あなたは問題の一部である。
次回は、生理と地球環境についてのお話です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
明日も素敵な一日になりますように。