Earthian1998

あなたも毎日使っているパーム油の話。

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最近購入したおやつは何ですか? 

菓子パンでもいいです。

あなたはその商品にどんな原材料が使われているのかを気にすることはありますか?

 

私たちがコンビニやスーパーで購入するパンやお菓子、ポテトチップス、洗剤やシャンプーにはほぼ全てといっていいほど“パーム油”という植物油脂が使用されています。

よかったら、原材料を確認してみてください。

植物油、植物油脂、ショートニング、マーガリン、グリセリン、界面活性剤

どれか当てはまる名称がありましたか?

これらはいずれも“パーム油”です。

 

今回は、私たちにとって一番身近な油、“パーム油”についてお話します。

 

 

 

 

パーム油とは

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(参照: 日経新聞)

パーム油はアブラヤシの果肉から採れる油脂のことです。

世界で一番多く使用されている植物油であり、なんとスーパーに並ぶ約半分の商品に含まれいると言われます。

現在世界では、毎年700万トンのパーム油が生産されていまいます。

そして、その90%を東南アジア諸国インドネシア、マレーシア、タイが担っています。

特にインドネシアでは、とてつもない勢いで生産量が増加しており、2010から2030年までに生産量は3倍になると予想されています。

そして、世界人口の増加に伴い、発展途上国におけるパーム油の需要はさらに高まると考えられます。

 

どうしてこんなに消費されるのか

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その答えは、汎用性と低コストです。パンやお菓子、洗剤など多様な商品に利用できること。

苗を植えれば、収穫できる時期が20年続く生産性と収穫量の高さです。

ここまで聞くと、優秀な油と捉えられますが、

このパーム油は現在、世界中で問題視されているのです。

 

森林への影響

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パーム油の主要生産国であるインドネシアやマレーシアは、地球で最も生物多様性の豊かな熱帯林が広がる国のひとつです。

しかし、パーム油の需要拡大に伴い、アブラヤシを生産する為に森林伐採が深刻化しています。

世界で最もパーム油の生産が盛んなインドネシアスマトラ島は、過去30年間にわたり森林の半分が失われました

 

泥炭地への影響

泥炭地は地球の面積のたった3%に過ぎませんが、世界中の森林を合わせたよりも多くの炭素を蓄えています。

インドネシアスマトラ島ボルネオ島は、この泥炭地が広範囲に広がる特殊な地域です。 

アブラヤシは、地中に多くの水分を含む泥炭地にそのまま植えることはできません。

 そのため、泥炭地から水分を抜き、その後上に生えている木々を伐採します。

 最後に、整地のために土地に火を放ちます。

こうして、泥炭地が渇く過程で空気に触れることで蓄えられていた大量の温室効果ガスが放出されます

燃やすことでさらなる二酸化炭素が放出されることは言うまでもありません。

 

止められない土地開発

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インドネシアやマレーシアでは、雨が少ない乾季に森林や泥炭地の火災が相次いで起こっています。

その原因の多くは、人が放った火だと考えられています。

火入れは法律で禁止されていますが、安価に手早く土地を確保できるため、乾季になると放火が多発しているのです。

 

 

野生動物への影響

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これらの影響を一番に被っているのは、野生動物です。

自分の住む場所や食べ物を失ったオランウータンは、アブラヤシ農園に出没し、新芽を食べてしまうため農家には害獣として扱われています。

森から追い出されたアジアゾウが、アブラヤシ農園に入り込み、遭遇した人が亡くなるという事故も毎年のように起きています。

これを防ぐために、ゾウの好きな果物に毒を入れて巻き、ゾウを殺している農園もあります。

 

労働搾取

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アブラヤシ農園で働く人々の強制労働や児童労働も問題視されています。

インドネシアでは児童労働が禁止されていますが、アブラヤシ農園を運営する企業に雇われて働く人々は、収穫量が目標に達しないと減給や支払われないケースがあり、子供たちを学校に行かせずに働かせざるを得ない場合があるのです。

マレーシアでは、インドネシアバングラデシュから来た人々が移民として働かされ、強制労働をさせられています。

契約とは異なる長時間労働や厳しいノルマが課せられます。

仕事を辞めて帰国したくても、企業にパスポートを取り上げられているために辞めることが出来ません。

 

買わなければいい、わけではない

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私たちの暮らしに油は不可欠です。

特にパーム油は、食品から日用品までの多くの場面で生活を支えています。

もしパーム油を使わないとしたら、今までパーム油を使用していた企業は代替油を使うことになります。

しかし、現時点でパーム油ほど生産性の高い植物油はありません。

今までと同じ量を採取するためには菜種油や大豆油は、パーム油よりもはるかに広い土地が必要になるためさらなる環境破壊が起こる可能性があります。

 

持続的な生産がカギ

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(参照: Japan Sustainable Labels Association)

パーム油の原料であるアブラヤシはただの農作物で、これ自体に問題があるのではありません。

問題の本質は、パーム油を使うかどうかではなく、どのようにパーム油を生産するのかということです。

2004年、地球環境や動物、人に配慮した持続的なパーム油の生産を促進するためにRSPOという国際的な認証制度が誕生しました。

RSPO認証マークが記載されいている商品は、原材料に使用されているパーム油(のほとんど)が持続可能な生産法で採取されたことを示しています。

 

私たちの豊かさや便利さの裏には、環境や動物・人々への影響があります。

これらは目に見えるものではありませんが、だからといってあなたに関係がないわけではありません

 買い物は投票です。

あなたの選択がこれらの問題に加担するのか、解決へ向かわせるのか。

あなたはどちらでありたいですか?

 

次回は、ちらっとでてきたRSPO認証について詳しくお話します。 

実は、RSPO認証が付いた商品がすべて信頼できるとは言い切れないのです…。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

明日も、素敵な一日になりますように。