たまごが食卓に届くまでのあまりにも悲しい話。
目玉焼きは、
塩派ですか?
醬油派ですか?
卵焼きは、
甘い派ですか?
しょっぱい派ですか?
たまごを使った料理を食卓で見ない日はない。というくらいに、日本人にとってたまごはとっても身近な食材ですよね。
日本は世界で3番目にたまごを消費する国です。
一人当たり、一年に329個のたまごを食べているとも言われています。
今回は、このとっても身近なたまごがあなたに届く前のお話をします。
本来のニワトリの暮らし
ご存知の通り、たまごはニワトリから産まれます。
ニワトリといえば、“3歩歩けば物事を忘れる“、“チキンハート”などの言葉がありますよね。
しかし実際は、感情豊かでとっても賢い動物なのです。
ニワトリは霊長類と同様のコミュニケーション能力を持っていて、私たち人間と同じようにコミュニティを形成しながら生活します。
仲間を認識し、100以上の顔を見分けることができます。
とても愛情豊かで、一時間に5回たまごを揺らし、語り掛けます。
子供がストレスを受ければ、自分のことのようにストレスを感じて苦しみます。
私たちと同じように、夢を見ます。
砂遊びが大好きで、太陽の光と砂を浴びることで羽を清潔に保っています。
一日に一万回ほど地面や草をつついて、探求したり餌を探したりして過ごしています。
日本の養鶏場は、世界最悪レベル
日本のたまごの安全性は世界一を誇っていますが、飼育環境は世界最悪とも言われています。
日本の採卵農家は、“パタリーケージ”が主流です。
パタリーケージとは、ワイヤーでできたケージを連ねて何段にも重ね、その中でニワトリを飼育する方法です。
一般的に、一つのケージに5羽ずつニワトリが入れられますが、同じ大きさのケージ中に7羽いれる業者も存在します。
一羽当たりの面積は、だいたいiPad一枚分です。
私たち人間で考えれば、満員電車くらいです。
床と前後は金網、天井と左右の壁は鉄でできています。
狭いケージの中で、何度も羽ばたこうとして、何度も骨折します。
伸びきった爪がケージに絡まり、足を脱臼してしまうニワトリもいます。
本来は巣の中に隠れて産卵するため、すけすけの金網の上でたまごを産むことは非常にストレスになります。
また、砂遊びをすることでダニや寄生虫、汚れを落としますがそれは許されません。
だから、ニワトリたちは月に一度殺虫剤をまかれます。
体中に噴射され、体が濡れて冷えてしまします。
ショックで死んでしまうニワトリもいます。
日本の採卵鶏約1億7600万羽のうちの99%以上が、このパタリーケージで飼育されています。
日本中の食卓に並ぶためにたまご製造マシーンにされた。
本来、ニワトリは一年間で30個程度しかたまごを産みません。
日本中の食卓に“大量に”たまごを届けるために、品種改良され、年間300個のたまごを産むようになりました。
たまごを産みすぎることでカルシウム不足になり、卵管も卵巣もボロボロになります。
彼女たちの最後の一日
ニワトリの寿命は10年ほどですが、採卵鶏はひなの時期120日のあと、1~2年間たまごを産み続け体がボロボロになったら殺されます。
たまごを産めない体になったとき、ケージの扉が開かれます。
乱暴に足や羽をつかまれ、輸送コンテナに叩き込まれます。
この時に、骨のもろいニワトリは骨折や脱臼をします。
頭が挟まったままコンテナのふたを閉められ、そのまま死ぬ場合もあります。
その後、長距離のトラック移動を経てと殺場へ運ばれます。
国際基準では12時間の輸送になる場合、水を与えなくてはなりませんが、日本では水を与えられることはなく、一晩中放置されます。
コンテナの下のほうにいるニワトリは、上のニワトリの糞尿や割れた卵で濡れてしまします。
暑い夏の日には、ウジが湧き、寒い冬の日には、凍死することさえあります。
翌朝、意識のあるまま首を切られ、長い苦しみの果てに死んでいきます。
そして、
彼女たちは“チキン”や、スープの素になり“商品”として日本中の食卓に並んでいるのです。
”不必要”ないのち
採卵鶏が1,2年で出荷されているということは、毎年たくさんの雛が採卵鶏になっているということです。
もちろん、たまごを産めるのはメスだけです。
となると生まれてきたオスの雛はどうなるのでしょうか?
産まれてきたオスの雛の寿命はたったの1日です。
たまごから出てきてオスだと判断されれば、“用無し”なので殺されます。
殺処分の方法は様々で、生きたままシュレーダーにかけるところもあれば、雛を大量に袋に入れて窒息死させることもあります。
大きな箱に何匹も入れて圧死させる場合もあります。
下のほうにいる雛は、重みさや息のできない状況に苦しみながらじわじわと死んでいきます。
年間で殺処分されるオスの雛は1億にのぼると言われます。
産まれてきた雛がメスであったとしても身体が弱かったり、足が曲がっていたりすると処分の対象になるため、実際はさらに多くの数が殺されています。
世界の動き
今までお話してきた日本の卵農家は、EUであれば違法業者になります。
ケージ飼育があまりにも残酷であるという消費者の声により、世界中でたまごのケージフリー宣言が広がっています。
(ケージフリー:ニワトリをケージに入れずに飼育すること。)
欧米では1960年から議論が始まり、法律改正などが行われ、スーパーの棚はがらりと変化しました。
南アフリカやメキシコ、ブラジルでも動きが見られています。
日本ではどうでしょうか。
一部ではアニマルウェルフェアを掲げるようになってきていますが、その中身は具体的ではなく、“パタリーケージの中でできること“にとどまっているそうです。
ケージフリーは、ケージで飼育するよりもコストが大きいです。
ニワトリを解放することよりも、効率よく大量生産するほうが生産者にとって
優先すべきことなのでしょう。
圧倒的に足りていない関心
あなたの食卓に並ぶ前のたまごのお話いかがでしたでしょうか?
毎日食べているものが、どのように生産されているのか、興味を持たない人があまりにも多いのが日本の現状です。
世界のケージフリー、アニマルライツへの取り組みに日本が遅れているのは、私たち消費者の責任でもあります。
消費者が知らなければ、どんな生産過程であろうと、原材料に何をいれようと関係ないからです。
残念ですが、一般に多くの企業は消費者の幸せや健康ではなく、“利益”を目的としています。
自分や家族の健康が大切なのであれば、私たち消費者自身が変わらなければなりません。
自分が買う商品で、傷ついている動物や人がいないのか。環境に負荷を与えていないのか。
そして、自分の身体に影響を及ぼさないのか。
生産者や企業に対して目を光らせること。
これが、私たち消費者の責任であり、自分の健康を守る武器になります。
スーパーで卵売り場やマヨネーズ売り場に立ち寄ったら、よく見てみてください。
ケージフリーの商品がきっと並んでいるはずです。
マヨネーズであれば、たまごを使用していない商品もあります。
私自身、たまご不使用のマヨネーズを使っていますが、味が劣っているなんてことはありません。
とってもおいしいです。
動物から搾取なくても、おいしい代替品や食材はたくさんあります:)
この記事をきっかけに、少しでも消費行動に目を向けていただけたらとっても嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
明日も素敵な一日になりますように。